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売り手

売り手としては、売るタイミングというものが極めて重要となります。通常、事業の発展に勢いがあるときは、経営者は事業を手放そうとはしません。かといって、事業が衰退してしまえば買い手が現れません。程よいときが売り時ということになりますが、この程よいときに経営者が売却意思決定することもまた勇気のいることです。しかし、躊躇したところで、変化の著しい現経済環境において数年後はより厳しい経営を強いられて事業価値が大幅に下落しているかもしれませんし、存在した買い手も不在になるおそれもあります。決して、我々は売ることを促進しているわけではなく、売却を検討したなら、短期間で、多くの資料をもち、考え意思決定をし、悔いのないものにして欲しいと考えています。
売却にあたり売り手の関心事は、まずは売却金額であることはいうまでもありません。そこで、秘密保持契約およびアドバイザリー契約後に企業や事業を評価して、買い手と交渉することになります。企業や事業の基本的な評価方法は以下のとおりです。

売り手側の企業価値の評価方法

M&Aにおける対価としては、まず、売り手側の売買価額を算定する必要があります。中小企業では、通常、時価純資産額と営業権を合計したものを売買価額の基本と捉えます。

時価純資産額

中小企業のM&Aで企業を評価するにあたっては、時価純資産額が目安となります。時価純資産額を求めるには、貸借対照表の時価評価した資産から時価評価した負債を差し引きます。
時価評価の対象となる主な資産としては、売掛金、棚卸資産、土地、建物、有価証券などがあります。売掛金は、回収可能額を評価して、回収不能額をマイナス評価します。棚卸資産は、製品、商品として価値がない不良在庫はマイナス評価します。土地は、不動産鑑定士に評価してもらうか、公示価格や路線化をもとに評価します。建物は、不動産鑑定士に評価してもらうか、固定資産税評価額をもとに評価します。有価証券は、市場取引されるものに関しては直近の市場評価をもとに評価します。また、従業員の賞与引当金、退職給与引当金や役員の退職慰労金など未計上の負債がある場合は、これを負債として認識します。
これら純資産評価額にて企業評価する場合は、会社が存続することが前提になります。経営者の中には清算という最悪の事態になったとき、時価純資産額で会社を処分できると誤解している人が少なくありません。清算価額とは、資産を処分価格で算定したものです。通常、時価純資産額よりも清算価額のほうが大幅に低くなります。たとえば棚卸資産や固定資産などは通常よりも大幅に価格を下げないと処分できません。
ちなみに、会社を清算したとすれば、清算価額には40%程度の法人税が課税され、株主に配分されるのは、清算価額の60㌫に目減りしてしまいます。とすれば、M&Aにより、時価純資産価額で会社が売れるならば、清算する場合に比べて、売り主として手元に残る金額は大きくなるメリットが明らかです。

営業権の評価

営業権の評価については、さまざまな方法があります。ここでは中小企業のM&Aについてよく使われる「年買法」について説明します。
年買法は、売却対象会社の過去の平均的な利益をもとに営業権を算定する方法です。具体的には、税引前利益(過去3年~5年の平均値)に倍率(2年~5年)を乗ずることにより計算します。倍率は成長企業や安定性を勘案し、2年から5年の範囲で計算します。なお、役員報酬については、退職役員の金額を加味しながら評価に加算します。但し、会社や事業を取り巻く環境や要因によって、価額が修正されることはいうまでもありません。
営業権の算定方法 =(税引前利益+退職役員報酬他)×倍率(2~5年)

買い手

買い手側の成功の条件

買い手として,何をもってしても買収の目的が明確でなければなりません。 経営理念や方針に沿って,無理のない,しっかりとした計画に基づいている必要があります。事業を拡大したいからとの目的だけでは,ビジョンが不明確で,買収したところで,人も取引先もついてこないことに成りかねず,結果として買収を失敗と捉えることになってしまいます。 そうならないためには,相手を知ることが重要で,買収したい会社の事業規模,内容,社員数,財務,事業場所等基本事項は当然として,守秘義務契約・基本契約を締結した後は買収監査を含めて,リスクを想定しながら,即断していく必要があります。無駄に時間をかけてしまうと,相手方の気が変わったり,財務に大きな変化があったり,従業員の間でネガティブな噂として伝播することもあるので注意が必要です。 また,やはりプロを活用することで,安全かつ迅速な取引の実現が可能で,将来の問題惹起を最小限に抑えることに繋がります。プロを利用しないM&A取引は,リスクが高すぎて,我々としては想定できません。

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